【展覧会レポート】戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見に行ってきました

東京庭園美術館で開催されている「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」を見に行ってきました。

モダンなデザインたちは、経済成長と文化的多様化を迎えた時代の空気をビジュアルで伝えてくるようでした。

ポスター、書籍の装丁、広告デザインなど、どれも完成度が高く、「あれ、この構図どこかで見たことあるな…」と既視感を覚える作品がいくつもありました。

漫画の表紙やCDジャケットなど、現代のグラフィックにも影響を与えていそうな表現が随所に見られ、ルーツを辿るような楽しさがありました。

一部の作品は撮影も可能だったので、印象に残ったものをいくつか写真に収めてきました。

デザインという仕事は、常に名前が残るわけではない。

誰が作ったか分からなくても、人の記憶に残り続けるデザインは確かに存在する。それって、ある意味ですごくリアルで、自分の仕事にも重ねて考えさせられました。

もし自分の作ったデザインが、500年後に「作者不詳」としてどこかに展示されていたら…と想像したら、それはそれで痺れるし、最高に面白い。

そんなふうに思えるのは、デザイナーという仕事の醍醐味かもしれません。

そしてもう一つ、展示を見ながらふとよぎったのは「売れて消費されていくデザイン」と「後世に残るデザイン」の違いについてです。

音楽でも“ヒット曲”と“名曲”が必ずしも一致しないように、デザインの世界でも、その瞬間の話題性とは別に、時代を越えて残っていく表現があるのではないか。

そんな気持ちにもなりました。

Webデザインの仕事をしていると数字で結果の出るデザインを求めるられることが多いですし、そもそも作ったデザインも短いスパンで消費されてしまうことが多く、後世に残るデザインの偉大さを改めて噛み締めることになりました。

また、日本映画のポスターもいくつか展示されており、黒澤明監督の『羅生門』や『七人の侍』、小林正樹監督の『切腹』など、映画の世界観を再構築したグラフィックが並んでいました。

文化的背景を踏まえつつ、新しい視点で表現されているポスターの数々は、まさに“再解釈されたアート”としての魅力がありました。

グラフィックデザインは、単に目を引くだけのものではなく、時代や思想を記録し伝える手段でもある。

そんなことを改めて実感できた、充実の展示でした。

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